能登が好きだ。
ふるさと。
劔岳に向かう早月尾根から臨む能登半島。
親不知から見渡す能登半島。
外海(日本海側)と内海(富山湾側)で全く違う表情を持ち、
日本史の中心に立つことは一切無かったけれど、
生活史の核心には必ず能登が在った。
北陸は「北陸」と呼ばれ、昔から雪がたくさん降る地域で、小さい頃から私の住む北陸はきっと日本の北のほうにあるのだと思っていた。
だから、少し大きくなって。実際のところ全然北に位置していないことを知った時は不思議に思い、いつの間にかその不思議さを忘れてしまっていた。
越前から美川までの海岸沿いを自転車で走った今。
北陸の北とは、北陸自身の位置を示しているのではなく、
北(蝦夷を含む日本国より北の世界)との窓口(Front)ということだったんじゃないかと思うようになった。
そうなると、「北前」なんて言葉もしっくり理解できる。
海は世界を分断したが、人はその海に道を見出した。
能登はその核心にあった。
そう思ったら、また能登に行きたくなって。
気まぐれでぐるっと巡った能登一周自転車の旅。
今後は冬に来よう。
澄んだ空気と静かな富山湾の先にそびえる北アルプスの雄大さを感じたいから。