HeartBreak One Run

走る。登る。回す。紡ぐ。

高島トレイル2泊2日(2020年6月5~7日)

スルーハイクの感想

今年の5月になってから何度も登山入り口まで行ってはいろんな事情で登るのを諦めてきた。初回(5月)は手袋とサングラスを忘れて挫折。2回目は計画がキツキツ&食糧不足&仕事の関係で水坂峠エスケープ。3回目はその翌週、水坂峠以降を歩こうとJR近江今津駅からスタートしたところ、途中のロードで地図を紛失し山に入れずリタイヤした。そして今回の4回目で初めて、高島トレイルの全体を楽しむことができた。困難はもちろんたくさんあったし、いろんな理不尽(とその時思ったこと)には腹が立ったけれど、思い返せば全てが一本の道でつながり、1つの完結した起承転結を持ったストーリーに仕上がっていた。

順路全体に関するアドバイス

標識にはいくつか種類があり、中には高島トレイルと関係の無いものがある。これらに惑わされないようにルートを探す。(正:分水嶺の文字入り黄色テープ、高島トレイルの銘入り看板、準:分水嶺マーカーと思われる赤い杭、反射材付き文字無し黄色テープ、赤テープ、注意:送電線用看板、他の自然公園表示)

「愛発越→桜峠」までの区間については、100m歩いて標識が見つからなければロストの可能性が高いと思ってよい。しかし、以降のルートは徐々にテープの数が減っていき、「おにゅう峠→三国峠」区間はほとんどテープは無かった。(2020年6月現在)序盤から標識だけに頼らず、地形やルートの感覚・パターンを感じながら進む。公式地図は必須。

迷ったら手前の標識まで「必ず」戻る。標識の傍(看板なら正面)に立ち、目を凝らして道を見極め直す。スピードを上げるとロストしやすくなり、落とすと前に進めない。どちらを優先するかはルートを予測しながら柔軟に対応する。

順路については福井県側の愛発越から桑原橋のゴールに向かうルートが良い。稜線からの景観に惹きつけられ深みにはまっていく。序盤からのコースを歩く中で発見した知識が後半(特におにゅう峠以降)に役立ってくる。逆打ちは難易度が一気にUPするのでやるなら覚悟。

1日目(自宅→マキノ→国境スキー場)

前回のアタックで紛失し、ネット注文していた公式地図がまだ届かない。待つくらいなら直接マキノまで行ってしまえと、昼のうちに出発し、JRマキノ駅内にあるツーリズムオフィスで地図を購入。近くのスーパーで夕ご飯を買い福井県のJR新疋田に行く。車はここの駐車場にデポさせてもらう。17時。まだしばらく明るいだろうし、せっかくだから国境スキー場(愛発越)へ。それでも時間があったから、この日のテント場はゲレンデを登って登山道に入る手前に張ることにした。本来高島トレイルはトレイル内でのテン泊は禁止されているが、ここならギリギリセーフかな?って勝手に思った。使ったのはツエルトⅡロング。これに慣れちゃうとテント要らない(持ってないけど)。風が強くて途中2度ほどポールが倒れたが広いスペースで快眠した。

2日目(国境スキー場上部→桜峠)

朝4時までにツェルトをしまい出発した。序盤のルートは以前歩いたことがあるため、写真も撮らずにさくさく進む。芦原岳や三国山のようなルートから少し外れるピークはスルーし、とにかく水坂峠までの知ってる道を早く終えたかった。早朝の稜線は日本海側から強い風と共に雲が流れ込み、肌に当たって心地よい。

今回は上着にfinetrackのドライレイヤークール1枚で進んだ。若干透けるがどうせ人とほとんど会わないだろうし、別にいい。クールはナイロン製で通常版より強度が高い。この上に直でバックパックを背負ってこれまで200kmくらい走っているが、いまだ不具合は発生していない。

赤坂山から寒風までの区間は1日目のハイライト。傾斜のゆるい草稜を眼下に広がるマキノの町並みや琵琶湖を捉えながら歩く。残念ながらこの日は曇りがちでそこまで景観は広がっていなかった。まぁ2週間前のアプローチでちゃんと見たし、別にいい。とにかく前に進む。

5月の写真。今回は曇ってたので撮影していない。

そこから先、抜土→三重獄まではブナ林が続く。武奈ケ獄稜線でいったん草稜に出てから長い下りに入る。杉林はどこにいっても急坂ばっかりで困る。水坂峠から桜峠までの道のりが今回初挑戦となるルート。手を使わないと登れないような急登がずっと続く。1日の最後を締めくくるのにはもってこいの試練だった。翌日に持ち越さなかったのは良い判断だったと思う。水坂峠→桜峠間はDocomoの電波が通るため、ずっとrajikoを聞いていた。

桜峠に出てテント場探し。行者山の入り口横にスペースを見つけたけれど、砂利敷ばかりでペグがうまく刺さらない。固定できる大きな石もない。そこで天井部を木に吊るして持ち上げ、ペグの代わりにポールでツエルトの横幅を固定することにした。綺麗に張れはしなかったけど大の字で寝るだけのスペースは十分確保できた。公式地図には水マークはなかったものの近くの牛舎の横に山からの水が流れており、そこから4Lを失敬した。

今回は荷物軽量化のためジェットボイル、カップ麺を持ってこず、総菜パンでやり過ごすことにした。ぎゅうぎゅうにバックパックに詰めていたためぺちゃんこに潰れていたが、やっぱりローソンのはみでるメンチカツバーガーうめー。ちなみに行動食はベビースターラーメンと皮付き落花生、煎り大豆のトレイルミックス。500mlボトル1つでちょうど1日分になる。Good proteinな「煎り大豆」がミソ。味は悟りの境地。高島トレイルは工程内に自販機含め一切の補給が無い。粉末ポカリを持ってきていたのが非常に良かった。

3日目(桜峠→桑原橋)

朝4時少し前に出発。まだ暗くハンドライトしかない状態で未踏破区間に入るのは怖かったけれど、桑原橋を通るバスに乗るにはちょっとがんばる必要があった。少し上るとブナ林が広がる。徐々に光が入ってきてその全容が明らかになってくると、今自分は本当に素晴らしい世界に迷い込んでしまったのだと実感した。細いブナが間隔を取って屹立し、鳥の声と風だけが音を立てる。曇り空の前日と変わって広がる青空が木々の合間から覗きながら陽射しの暑さは遮られ、心地よい空気とブナの木々と私だけが存在する特別な空間。食糧さえあれば、1週間ぐらいここでキャンプしたいと思った。

前日の疲れを忘れて行者山から走って横谷峠へ。そこから先も美しい風景はずっと続く。途中の根来坂は森のど真ん中ではあるけれど、過去生活の往来が盛んだったところ。鯖街道の1つ「針畑越え」のルートだったそうだ。白峰(石川)と石徹白(岐阜)との繋がりだったり小浜(福井)と京都、滋賀をつなぐ鯖街道しかり。車とアスファルト以前の社会(ネットワーク)にはロマンを感じる。実際は私が生まれるほんの少し前の話なのに、遠い過去のように感じてしまう。でも、その当時もこのブナの森は今と同じような色で同じような光景を見せていたのだろう。当時の人たちもきっと見ていた光景。時間を超えて繋がった気がした。おにゅう峠を見下ろすピーク。360度のブナ林。この景色が高島トレイルの真髄なのだと分かった。

見渡す限りの山。どれかの峰はこれまでに辿った道かもしれない。

おにゅう峠にはドライブで来た人がそこそこ居て、もしかして自販機置いてないかなと探してみたけどやっぱなかった。この時点で予定より1時間先行していた。そもそも予定通りだとバスに間に合わない。間に合わなければJR駅までの38kmが追加コースとなってしまう。残りの区間でもう30分稼ぎたかった。今回のタイムスケジュールは公式地図にある標準タイムを0.7掛けして作成した。初めて高島トレイルに入った時は0.6掛けで失敗。知っている道を普通に歩くのであれば0.6ぐらいなのだが、ルート確認やロスト時の戻りリスクなども含めると、0.7くらいが若干お釣りがくる感じで私には都合がいい。


これまでの道のりで学んだこと。ブナ林で迷ったら、面倒でも直前の標識まで戻ること。地面に刺さっている赤いプラスチックの杭はきっと福井県境を意味してるのだろう。つまり分水嶺なので公式ルートとニアイコールであること。公式標識意外はまず疑ってかかること。広いブナ林で道を辿ること。場合によってはショートカットも考えること。でもそれはロストの確率が高くなること。細い稜線、短いながらもそれなりにきつい上り坂。杉の生えた傾斜は上り下りどちらにせよ基本的にきつい。

おにゅう峠から先、三国峠に至るまでのルートは、これまで高島トレイルで学んだ知識を総動員させて進む最終試験のような道のりだった。要するにキツい。一番キツいのは、これまで頼っていた高島トレイル公式の標識が突然ほとんど無くなってしまうということ。一本道の稜線ならまだしも、稜線と稜線をつなぐブナ林の中で標識が見つけられないのはかなりやばい。多くの人が迷っているのだろう、道(に見えるスジ)はそこら中にあり、ちょっと気を抜くと迷いこむ。直前の標識まで戻り、立ち位置を変えて目を凝らしてみることを繰り返した。

二の谷山での急登を彷彿とさせる登り、水坂峠手前のような下り。繰り返し繰り返し現れ、体力を消耗する。歩いても歩いても標識が無いことが焦りを増大させる。序盤の丁寧さはどこに行ってしまったのか本当に不思議で、よし、生きて帰ったら管理クラブにメールしてやろう生きてたら。なんて何度も思った。2日目序盤で作った1時間の先行もナベクボ峠の時点で30分しか残っていなかった。完全に危険水域に入っていた。

それでも、三国峠を過ぎ、地蔵峠に抜けて、当たり前だけれども歩いた分だけ少しずつ前に進んでいる。心のどこかで、バスに間に合わなくたっていいじゃないかという諦めというか心のゆとりが生まれてきた。確かに道はきつかった。けれど、このきつさは昨日のあの道に似てるなとか、遥か遠くに感じられる昨日のこと、今日のこれまでのことを振り返りながら歩いた。そうだ、この区間はクライマックス。ラスボスだ。これまでの工程で得た知識をフル回転させて乗り越える最終試験。番場島(劔岳早月尾根登山口)に刻まれた言葉を思い出した。

試練と憧れ
憧れる心に試練があり 試練を超えてその道を歩き続けん

番場島(劔岳早月尾根登山口)の石碑より

そういえば、この試練は私自身が望んだものだったんだな。そのハードルが高ければ高いほど、超えた時のハッピーは増大する。いいじゃあないか。

ギンリョウソウ。こいつを見つけたあたりで心の刺々しさが薄れていった気がする。

私はゴールに向かって進んだ。岩谷峠を過ぎたあたりから、しばらくごぶさただった黄色いテープが復活し始めた。マラソンのゴール直前、大勢の観客の声援を受けながらテープに向かって走るようなイメージ。あれだけ繰り返し現れた坂はほとんどなくゆっくり進む。途中、「桑原」の看板を見て帰路を意識する。そして最後の三国岳の山頂。景観は全然なくてちょっと拍子抜けしたけれど、それはそれで高島トレイルらしい。ちょっと感極まって自分撮りなんてしてしまった。

久々に時間を確認する。いつの間にか先行時間は30分から1時間近くにまで回復していた。残りの道程は下り。丹波越→桑原橋までを一気に掛け下る。若干ルートを外れたりするものの関係ない。黄色テープは充実していて遠くからでも進むべき方向は分かる。最短距離を最速で突っ切る。マメが出来ている感覚はあるものの、意外と足は元気だ。杉林から立派な瓦吹きの屋根が見えてきて、旅ももうすぐ終わるなと思い始め、そこから下山口までは5分ほどしかかからなかった。

心の奥から湧き上がる何か、みたいなもの(感動?)は元来あまり感じないほうなので、とりあえずお世話になった山々に一礼し、バス停に向かった。当初の下山予定は17:56。一方で桑原橋のバスは17:29に出るらしい(令和2年改訂)。そのために急いでここまで来て、結局下山は16:20ごろになった。荷物を整理したりして時間を潰し、定刻に来たコミュニティバスに乗り込む。社内には他の登山者もいて話も弾んだ。「学校前」で降り、待っていた普通バスに乗り込みJR安曇川駅へ。18:54着。18:57発の電車に飛び乗り、近江今津乗り換え。新疋田に帰ってきたのは20時ちょうどだった。

JR新疋田駅。これはこれで燃える。(詳しくないけど)

思い返せば80kmの道のり。ピークが多すぎて、あとスピードも速かったので、正直どこがどこだったかあんまり記憶がなくて、この日記も地図を見返しながら書いている。一方ではっきりと覚えているのは赤坂山とそこからの草稜。高島トレイルの最核心である、桜峠から百里ケ岳を経ておにゅう峠までのブナ林。そして詳細はもう記憶がぼんやりしているけれど、確かに通ってきた「試練」。

また秋にも来てみたいな。そう思った。

食糧について

総菜パンを計6個。カレーパン2個、コロッケパン2個、メンチカツバーガー1個、からしマヨハム入りパン1個。うち5つをトレイル内で消費。これが晩御飯と昼ごはんになった。

行動食にはトレイルミックス(ベビースターラーメン、皮付き落花生、煎り大豆)。ベビースターの味と塩気でギリギリ食べれる。500mlボトルで丸1日分。他にバランスパワーも持って行ったが使わず。サラミは晩御飯と一緒に食べることが多かった。飴と塩タブレット少々。激辛イカ姿フライをなんとなく1袋。美味しいので。その他、ポカリ粉末2袋。(2L分)

ガスとカップ麺はどうしてもバッグのスペースを食ってしまい、ファストパッキングだとどうしてもつらい。とはいえカップ麺が美味いのは事実だし、どう使い分けようかは悩んでいる。例えば行動時間が長くなる夏から初秋は行動優先で総菜パン。夜をゆったり過ごさざるを得ない季節はOspreyのKestrel 38Lでほくほく晩御飯生活とかいいかもしれない。

RaidLight Ultra Regend 30L

海外通販サイトのtrekkinnで昨年偶然見つけた商品で、肩から背面のクッション性が非常に高いくせに710gと軽量。テラノバとかに比べれば若干高く感じるかもしれないが、ポケットがいろいろ20個ぐらいついていて追加アタッチメントがほぼ不要というのも良い。

白いメッシュ裏には厚いクッション。首回りまで入っている

非常に高い性能を有しながら、これまでこのバックパックを使って成功した旅があまり無い、不憫な運命を追っていた。昨年末の東海道53次制覇は京都→名古屋でリタイヤだし、琵琶湖一周もリタイヤ。テラノバRacer20Lの時は2回完走できてるのに!

今回は下部にベルトを設置してツエルト一式とマットを外付け。肩にはトレイルミックスのボトルとクマよけスプレー。通常はスプレーじゃなく水ボトルだが、熊が良く出ることは重々承知だったのでこの組み合わせにした。使うことは結局なかったけれど、間違ってはいない選択だったと思う。

そんなバックパック。ようやく今回悪い印象が払しょくできて、これからもっともっと使い込みたい。が、どうも本家廃番のため、後継機がない模様という不幸。。。

装備一覧

種別メーカー製品名詳細
バックパックRaidLightRaidlight Ultra Legend 30L日本未発売かつ廃番。背面クッション性が秀逸。
ポールSHINANOトレランポール14.0BD社製だとシャフトが錆びて固まるため導入。滑り止めを付けた。
シューズMilletRightRush新品導入。安定感有だが国内廃番。
ヘッドギアfinetrackロゴ入りキャップかぶりやすい。生地の触感が好き。
マスク不明Buffもどき半分に切ってマスク代わりに。残り半分は左手袋代わりに。
アイウエア眼鏡市場調光レンズのサングラスサイコー。コンタクトもういらね。
上半身(アウター)finetrackポリゴン2ULジャケット寝具として。
上半身(インナー)finetrackドライメッシュ クール乳首が透ける点以外は夏に最高。ナイロン製なので強度有。
手袋finetrackラピッドラッシュグローブ右手紛失し左手分のみ。裏返して右手用として使う。触感がいい。
下半身finetrackトルネードニーパンツ走るも良し岩場も良し。LLじゃなくてLを買っていればホントにサイコー。
レインウエアfinetrackエバーブレスレグンジャケット雨予報0%だけど、登山家の常識として持参。
レインウエアfinetrackエバーブレスフォトンパンツジャケットと合わせて1つの袋に入れて枕代わりに使用。
ツエルトfinetrackツエルトⅡロング足を延ばして寝られる幸せ。色んな設置方法があり融通が利く。Motbellの内部拡張ポールも使用。
シュラフfinetrackポリゴンネストブルーULよく眠れた。
水リザーバCAMELBAK2Lリザーバやっぱりこれ。
ライトoxtosヘッドライト昔もらった。電池切れで使えず。。。
ライトcateyeVOLT 300安定の明るさ。ヘッドライト不調のため心強かった。
ライトcarry the sunソーラーランタンSテント用にGood。今回初投入。
腕時計SUUNTOSUUNTO 9 Baro128時間連続ログ取得できる優れもの。充電しながらログ取れるやつも出てきてほしいが。

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テーマの著者 Anders Norén