旧規格の2008年版は、いわゆる「形から入る」規格でした。品質管理責任者の設置、品質マニュアルの作成。これらのカタチを用意した上で、実態(プロセス)を適切にしていこうという考え方でした。規定のフォーマットに合わせてさえいれば、それでよいとされる側面もありました。(例え実態が伴っていなくても)
その規格ができてから7年がたち、2015年。ISO9001は新たなフェーズに入りました。新たな規格は、実態(プロセス)が企業の身についていることを確かにするものです。それは規格が本来目指していた到達点でした。
結果、以前のように形式ばったフォーマットは(ほぼ)問われなくなりました。これは規格の本来の意図からみれば正しいことですが、その一方、品質管理プロセスの実態が身についているのか、外部から確かめづらくなることにもなりました。
運用を踏まえていうと、2008年版で用意したフォーマットは、おおむねそのまま継続したほうがよいでしょう。いくら実態が備わった企業でも、スムーズな外部監査のためにはなんらかのエビデンスを残しておいたほうがよいからです。
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PLAN
- 業務プロセスの洗い出し
- リスクの洗い出し
- リスク対策の検討
DO
- 対策の実行、実施結果の記録
CHECK
- 記録の分析
ACTION
- 是正
- 知識(ナレッジ)の記録
規格移行にあたり私が最も力を入れたのが、上記1、2です。
これらについては改めて、詳しく説明したいと思います。
最後にもう1点。
上記のPDCAサイクルとは別に、2015年版で新たに追加された考えがあります。それは、リーダーシップの発揮です。規格では、会社のリーダーは自社のPDCAサイクルについての説明責任を負うとされています。リーダーが軸となり、主体的に品質マネジメントに取り組むことを意図しています。
リーダーとは結果に対して責任を負う存在です。だからこそ結果ばかりに目が行き、過程(プロセス)をおろそかにしてしまう傾向にあるように思います。東芝は利益という結果を追い求めた結果、不正会計を犯しました。三菱自動車の燃費データ不正も、測定結果の改ざんです。
結果とはプロセスの流れの先に待っているものです。それをごまかすことは許されません。だからこそ、結果に責任を持つ立場であるリーダーこそ、目指している結果(成果)を導くためのプロセス構築・維持に心身を注がねばならないのです。