HeartBreak One Run

走る。登る。回す。紡ぐ。

走る理由

車では進めない道があるから。その道には車では見ることのできない花が咲いていて、匂いがあって、コンクリートが照り返す初夏の熱気。波の音をかき消す車の走行音。ただ青いだけの空に晴れやかになる心。ゆっくりと流れる時間。気の向くままに足を止められる自由。足の痛み、のどの渇き。それでもゴールに向かおうとしてしまう自由。

いずれやってみたいと思っていた、美川から志賀町までの旅。里山海道沿いの自転車道。羽咋から志賀町に続く道は私が生まれる少し前まで鉄道のレールが敷かれていて、車窓から見る夕暮れの海は本当に綺麗だったんだろうと思う。往路のゴール(実家)には家族が待っていて、実家の裏の湧き水は、山に入り自然の水を飲むようになった今だから本当に美味しいと分かるようになった。

復路では道沿いにキイチゴが成っているのに気づき、歯に詰まった小さな種を気にしながら、それでも美川に向かってゆっくり走る。金沢の下安原町で迎える夕暮れ。椎名林檎の新譜にココロ踊る。

アパートに帰りつき、シャワーを浴びて寝る。次はどこへ行こうかと思う。そのために必要な装備、体力、技能、時間を考え始める。

だから、走る。

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テーマの著者 Anders Norén